装画:越島はぐ
鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その美しい女店主が帰ってきた。だが、入院以前とは勝手が違うよう。店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。
変わらないことも一つある──それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、人の秘密、そして想いがこもっている。青年とともに彼女はそれをあるときは鋭く、あるときは優しく紐解いていき──。
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ビブリア古書堂を中心としたお客さんと古書にまつわる話。前作同様さくさく読めました。オチがわかりやすい話もありましたが、今回もおもしろかった。ラストはキャラの人間関係を語るのに重点が置かれているからか若干ミステリ要素は薄めのように感じましたが、このシリーズでは十分かと。
前作では語られなかった五浦くんの交友関係、栞子さんの母親について今回は触れられていますね。栞子さんの母親については今後も重要になりそうですね。そう簡単に片付けられなさそうな背景もあるようですし。しかし、栞子さんは本当にお母さんにそっくりのようで。見た目も知識も。栞子さん曰く、母親の方が知識も洞察力も上とのことでどんだけすごい人なんだろうと思う。彼女も十分すごいと思うのに。お母さんの方はやや後ろ暗いこともしてたそうですが、それだけ本に目がないんだろう。彼女の母親についてはほんと今後の書かれ方次第という感じ。『クラクラ日記』の内容がとても気になる。(おおまかな事は栞子さんの口から説明されてますが)
人の繋がりの輪も広がってますが、前作で登場したキャラも数名また登場してます。(話には関わってこない人もいましたが)1回こっきりではないというのもいいですね。小菅さん、まだ志田さんと本の貸し借りしてるんだなあと微笑ましい気持ちになりました。姉妹間の誤解もなんだか可愛かったです。小菅姉妹の話のオチはちょっと苦いものがありますが。
2巻が出たということで3巻にも期待。この本を読むと少し知識が増えるのが嬉しい。もっと色んな本が読みたくなります。本っていいなあと改めて思う。(※発売当時の感想です)
内容
プロローグ 坂口三千代『クラクラ日記』(文藝春秋)・I
第一話 アントニィ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)
第二話 福田定一『名言随筆 サラリーマン』(六月社)
第三話 足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)
エピローグ 坂口三千代『クラクラ日記』(文藝春秋)・II