装画:卯月みゆき
元飯田町に新しく暖簾を揚げた「つる家」では、ふきという少女を下足番として雇い入れた。早くにふた親を亡くしたふきを、自らの境遇と重ね合わせ信頼を寄せていく澪。だが、丁度同じ頃、神田須田町の登龍楼で、澪の創作したはずの料理と全く同じものが「つる家」よりも先に供されているという。
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=3431
つる家の新メンバーとして、ふきちゃん登場。辛い身の上でも健気でがんばっててかわいい子です。最初こそその行動にハラハラしたりしましたが、そこは澪と芳さん懐が深いというか何というか。とりあえず丸く収まって良かった。ふきちゃんの存在は和む。
今回も野江ちゃんとのやりとりがありました。前回に引き続き、この二人の話はじーんと来る。会うことはできなかったけれど…。手をきつねの形にしての「涙は来ん、来ん」には鼻の奥がつーんとなりました。束の間の邂逅、とはいえないかもだけど、野江ちゃんにはちゃんと澪の顔が見えたみたいで。ほんといつか会えるといいなあ。
野江ちゃんとの話のあとは太一ちゃんとおりょうさんの話。二人の病気、治って良かった。葛饅頭後の太一ちゃんと澪の最後のやりとり良かったです。仲良くなれたみたいで何よりでした。
しかし、おりょうさん・芳さんのピンチヒッターのりうさんがなかなかの曲者というかできた人で。ちょっと配膳風景を見てみたいです。ふきちゃんのりうさんの評価には笑ってしまった。確かに歯のない口でせんべいをばりばり食べる姿を想像したら怖いかも。弟の健坊もきっと同じなんでしょうね。怖がるポイント。
澪は小松原が気になるようですね。そして新たに登場した澪と同じ名前の「美緒」さんは源斉先生に懸想をしているようで。これからは恋愛というかそういう登場人物の心情変化も掘り下げられるんでしょうか。小松原さんは曲者なので色々難しそう。
今回も変わらず料理がおいしそうでした。「こぼれ梅」ってなんか綺麗というか可愛らしい名前だと思う。味が気になる。味醂の粕という話だけど。忍び瓜もおいしそう。今後も色んな困難が澪やつる家に降りかかるんだろうけど、どんな料理でそれを乗り越えていくのか。目が離せません。
収録話
俎板橋から―ほろにが蕗ご飯
花散らしの雨―こぼれ梅
一粒符―なめらか葛饅頭
銀菊―忍び瓜