文字を食べる

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有川浩『キケン』

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装画:徒花スクモ

ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称【キケン】。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。
https://www.shinchosha.co.jp/book/127632/


 有川浩さんの本を読むのは『図書館戦争』以来です。図書館戦争の続きも読みたいとは思っているんだけど…。
 と、それはともかく『キケン』。今回は恋愛要素は薄めの青春! って感じの小説でした。
 舞台は男子ばっかりの理系大学。その大学にある「機研」に所属する男子学生たちの活躍が書かれているのですが、そのキャラたちが皆生き生きとしてて良かった。彼らとしては普通の日常だったんだろうけど、読んでいるこっちには彼らが輝いてみえました。この本に書かれている話を奥さんに語る元山もそんな気持ちだったんだろうけど。
 この奥さんがまた、距離をとれる人なのが良かった。男の友情の領域に土足で踏み込まないというか。

 エピソードの一つである学祭の話の中で書かれている慌しさは、自分の学生時代を思い出させました。彼らの話と自分の思い出は全くの別物なんだけど、なんだか懐かしくなりました。ラストにある黒板の伝言には感動させられました。それぞれ書かれている一言がそのキャラらしくて。上野も大神も変わってないなあ、なんて思ったり。近況報告はいいですね。なかなか顔を見せない元山を気にしてる言葉がまたじーんとします。楽しかった!


★単行本の装丁も好き