文字を食べる

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高田郁『八朔の雪 みをつくし料理帖』

装画:卯月みゆき

神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが・・・・・・。
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=3092


 料理のおいしそうな本が読みたくて手にとった本。どうやら話題の本らしい。おもしろかった! 義理と人情のあふれる話。ついつい目頭が熱くなることも。ほっこりと温かな気持ちになる話でした。

 苦難ばかりだけど、いつかは雲も晴れて青い空が見える、「雲外蒼天」。澪の今後の運勢を表す言葉ですが、良い言葉だなあと思う。作中でも色々な苦難にあった澪だけど、ラストは「雲外蒼天」という占い師の言葉とおり厚い雲から光が差してきているようで、新たな「つる屋」が非常に気になるところです。澪は周りの人に恵まれていると思う。本人のがんばりもあるから、周りの人の優しさがあるのだろうけど。
 澪の弁当を食べたがる女性の正体に思い当たったときははっとしました。直接顔を会わせる日が来るのかどうかな澪と野江ですが、その存在だけでお互いの励みになるんだろうな。この2人も気になるが、小松原も気になる。何者だろう。

 さて、目当てだった料理ですが、ほんとおいしそうでした。茶碗蒸しや酒粕汁の件ではその温かさが伝わってくるようでした。作中、お客さんたちが口々に漏らすようにすごくおいしいんだろうなあ。苦労して完成させたものだし。茶碗蒸しのために出汁の研究する澪の熱心さには心を打たれました。食べてみたい。ちなみに、作中に出てきた料理は巻末にレシピがついていました。ちょっと試してみたくなってしまいます。


収録話
 狐のご祝儀――ぴりから鰹田麩
 八朔の雪――ひんやり心太
 初星――とろとろ茶碗蒸し
 夜半の梅――ほっこり酒粕

※2012年1月の頃の感想です。


★ドラマや映画にもなっている人気シリーズ「みをつくし料理帖」。コミック版もあります。