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アガサ・クリスティ ノン・シリーズ作品

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アガサ・クリスティ作品のノンシリーズものの読書記録をまとめました。どれもハヤカワ文庫です。
※読了順

ノン・シリーズ

そして誰もいなくなった

原書名:And Then There Were None
訳:青木久惠

その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作! 新訳決定版! (解説 赤川次郎
そして誰もいなくなった | 種類,クリスティー文庫 | ハヤカワ・オンライン


 題名だけは知っていた作品。題名がすごく魅力的で興味をそそる。読む前は「誰もいなくなる」という部分に疑問を覚えたものです。

 この作品の登場人物の10人はいずれも過去に法には触れないが犯罪を犯したことがある。そんな10人を童謡に見立てて殺害していく。導入部分はあまりおもしろくないんだけれど、展開が動いていくに従って徐々にのめり込んでいきました。時間を忘れてしまうくらいに。スピードがあります。読む際には一気に読むことをおすすめします。

 1人死ぬと同時に1つずつなくなっていくインディアン人形が薄気味悪い。閉鎖された空間で、自分以外の誰かが殺人者なんだと考えなければならないと思うと、人間不信になってしまいそう。最後の方まで残ってた人はそうだったんだと思う。
 犯人が自分の思ってた人と違ってて、少し残念と思うとともに、やっぱりなあとも思う。一番最後のタネあかしで妙に感心しました。なるほど! その線があることを忘れていたし、疑ってもいませんでした。名作と言われるだけの作品でした。すごい!

★表紙違い


★実際読んだのはクリスティー文庫の旧訳版。(訳:清水俊二
※リンク先は楽天。中古本。



『ねじれた家』

原書名:Crooked House
訳: 田村隆一

ねじれた家に住む心のねじれた老人が毒殺された。根性の曲がった家族と巨額の財産を遺して。内部の者の犯行と思われ、若い後妻、金に窮していた長男などが疑心暗鬼の目を向け合う。そんななか、恐るべき第二の事件が……マザー・グースを巧みに組み入れ、独特の不気味さを醸し出す童謡殺人。(解説 末國善己
ねじれた家 | 種類,クリスティー文庫 | ハヤカワ・オンライン


 『そして誰もいなくなった』では、いろいろと騙されたので今回は用心しながら読みました。そうしたら、なんと犯人が当たりました!
 トリックとか、そういうものは特にないんだけど、問題なのは殺人を行うにいたる動機というヤツで、それがどの人もあやふやなんですよね。これといった決まり手がないというか。どの人もどの人も怪しく見えてしまうという…。ここに登場する家族の設定のせいかもしれない。お金が絡むと変わってしまう人も多いし。(ミステリなんかじゃ多いと思う)最後にわかった犯人の動機はがちっぽけで驚きました。

 前半部分は、お互いの探りあいぐらいなもので、第2の事件から、ミステリ色が強くなってきたように思う。それでも飽きずに読むことができるのは、家族の確執というのか、解説にもあったけど、どこか昼メロ部分があるからなのかも。

 読むに当たって、ヒントになったのはこの話で探偵役になっているチャールズの、警視庁副総監である父の言葉ですね。「捕まるのが恐いくせに、空威張りしたり自慢したり、自分は捕まるようなばかだはないとたかをくくっていたりするのだ。それからもう一つ。犯人はお喋りだということだ」ほんとにその通りでした。これは他の作品でも、当てはまるのかもしれません。


『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』

原書名:Why Didn't They Ask Evans?
訳:田村隆一

牧師の息子ボビイはゴルフの最中に、崖下に転落した瀕死の男を発見する。男はわずかに意識を取り戻すと、彼に一言だけ告げて息を引き取った。「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」幼馴染みのお転婆娘フランキーと共に謎の言葉の意味を追うボビイ。若い男女のユーモアあふれる縦横無尽の大活躍!(解説 日下三蔵
https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/320078.html


 ボビイとフランキーの二人による、どちらかといえば推理というよりも冒険要素の多い作品。「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」というタイトルにつられて読みました。なんで頼まなかったの? そもそもエヴァンズって誰だろう、とタイトル見て思いませんか。

 タイトルにもある謎の台詞を切欠として、ある一つの事件に関わっていく主人公の二人。この二人の関係や役割などはトミー&タペンスの二人に通じるものがあります。トミー&タペンスの『秘密機関』の読了後に読んだので、尚更そんな感想を持ちました。展開もどことなく似た感じのような。どっちが作品としては早く出てたんだろう。もうちょっとしっかり見ておけば良かったです。どちらにしても女性の方が行動力がありますね。

 さて、エヴァンズの正体ですが、それがわかるのは終盤でした。主人公二人にとっても私にとっても思いもよらない人で(でも暗示させるような描写は序盤にあったような気がする)、そのエヴァンズの正体がわかった時に漸く死んだ男の「なぜ~」という台詞の意味もわかります。私もフランキーと同じように、ある人物に対して「なんでこの人はあの人に頼まなかったんだろう」なんて思ったりしたんですが、その“あの人”こそがエヴァンズだったわけで。そして、その疑問が死んだ男が最後に言った「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」と全く同じものだったわけです。上手いタイトルだなあと思う。