文字を食べる

読書の備忘録ブログです。

小川洋子『博士の愛した数式』

  当サイトの記事には、広告・プロモーションが含まれます

[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。
(引用元 https://www.shinchosha.co.jp/book/121523/


 引用元のページで書評が読めます。正直そちらを読んだほうがいいです。読み応えあります!

 家政婦として働く「私」は、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。
 数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだったが、「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は、息子を笑顔で抱きしめると「ルート」と名づけ、「私」たちもいつしか彼を「博士」と呼ぶようになる…。

 優しく、穏やかな話でした。物語は静かに進んでいるように感じた。読み終えたあと、愛しいなあと何故か思った。80分しか記憶を維持することができないってどんな感じなんだろう?
 この話には数学のことがたくさん出てきます。数学嫌いにとってはちょっと辛い。けれど、その「嫌い」を覆すようなものがありました。私も「私」と同じように、整った数式が綺麗だと感じることができました。数学、そんなに毛嫌いすることもないなあ、なんて思ってしまいました。
 それにしてもルートは立派に育ったなあ。やっぱり博士の影響も強かったのだろうか。


★映画の雰囲気、とても良かった。

博士の愛した数式

博士の愛した数式

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video