文字を食べる

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似鳥鶏『お召し上がりは容疑者から パティシエの秘密推理』

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 軽い感じだけど、実は結構重い内容の安楽椅子探偵タイプのミステリー。
 表紙のお盆に載ってるお菓子は、それぞれの話の中で出てくる食べ物だったんですね。本編全部読んで、改めてタイトルを見ると、なんかしんみりします。というか、作中の事件の真相がどれも物悲しい感じでした。事件関係者に智がお菓子ふるまうのがなんかいいなあ、と思う。

 キャラは好き。主役兄弟がまた良い兄弟でよいですね。直ちゃんの喋り方は勤務している場所を考えると賛否両論あるのでしょうが、私は結構好きです。
 最後の事件は後味が悪いというか、やるせない気持ちになりました。でも、智が的場さんにかけた「許さなくてもいい」的な台詞はある意味では彼女にとって救いだったのかも。この台詞は作中でもかなり印象に残ってます。普通は言わない場面だと思うので。二人がまた穏やかに会話できる日がくるといいと思う。
 キャラといえば、作中度々ほのめかされる智の元上司の本部長が気になります。なんとなく続編が出そうな感じがしますね。

内容
第1話 喪服の女王陛下のために
第2話 スフレの時間が教えてくれる
第3話 星空と死者と桃のタルト
第4話 最後は、甘い解決を


★改題版(装画:内田美奈子