文字を食べる

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重松清『ブランケット・キャッツ』

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馴染んだ毛布とともに、2泊3日だけ我が家に「ブランケット・キャット」がやって来る。(後略)
(引用元 https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12312


 7編の短編小説集。人間の勝手な自己満足に付き合わされる身の猫…と考えてしまうとなんともいえないものを感じてしまうけど、レンタル猫は孤独を抱える人たちにはとてもありがたい存在なのかも。寂しさ、悲しみに寄り添ってくれるブランケット・キャッツたちに健気さといとしさを感じました。

 子どものできない夫婦、病気の宣告された女性、いじめ加害者少年、痴呆の進んだ老女のいる家族、皆から疎まれている老人、家出兄妹、ある事から引っ越しをせざるを得なくなった家族…どれもしんみりとした話でした。どの話も素敵でしたが、名猫タビーが家出兄妹に寄り添う「旅に出たブランケット・キャット」が特に好きです。これだけ猫視点というのもおもしろかったです。