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神様・妖怪がでてくる小説 読書記録まとめ

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 神様や妖怪・あやかしがでてくる日本の小説をまとめました。ほぼ、ただの読書記録です。
 大体ライトノベルです。目次参考にしてください。
 増えたり、シリーズ続編読了したらページをわけるかもしれません。

神様・妖怪がでてくる小説リスト

浅葉なつ『神様の御用人』

装画:くろのくろ

野球をあきらめ、おまけに就職先まで失った萩原良彦。彼がある日突然命じられたのは、神様の願いを聞く“御用人”の役目だった。人間味溢れる日本中の神様に振り回され東奔西走する、ハートウォーミング神様物語。
https://mwbunko.com/product/kamisama/311999100000.html

 神様クエストってなんぞや? と思ってたのですが、なるほどなーって感じです。困ったときの神頼み、と人から願い事をされている存在の神様の願い事を主人公の良彦が「御用人」として解決していく話。主人公に共感できるところがあり、なかなか好感が持てました。特別な才能もなければ、人格者というわけでもないけど、飾りのない言葉が出会った神様たちの心に響くのでしょうか。

 主人公も良かったけど、神職についてる友人の孝太郎も良い性格をしてますね。超現実主義だけど、色々バランスとれてるというか。モフモフ狐の神様の黄金も(恐れ多いですが)大変可愛らしかったです。素直でないところも含めて。もふもふ~。
 ゲストで登場した神様たちもなんだか人間臭いというか、身近に感じられる存在として書かれてて親しみがわきました。神社については、漫画の「ぎんぎつね」の影響で元々興味があったのですが、神様についてもまた知りたくなりました。(ゲーム「大神」で一時興味を持ってたりしたんですけど)
 神頼みは何度かしたことがあるけれど、この本を読むとちょっと考えさせられますね。ともかく、楽しく読めました。語り部の主人公のおじいさんの話にはじーんとしました。温かな話。

 ★人気シリーズらしく、特集ページがありました。画像が表示されたので埋め込みリンクです。ドラマCDすごい!
mwbunko.com

 ★『ぎんぎつね』好きなのでこちらもリンク貼っておきます。

 ★ついでに大好きなゲーム『大神』も。猫派のあなたも一時的に犬派になるかも。アマテラスがかわいすぎる! 負ける気がしないラスボス戦は号泣必至。

 大神いろいろあるんだな。私がプレイしたのは一番最初のやつです。


小松エメル『一鬼夜行』

装画:さやか

文明開化に華やぐ東京を、人と妖の凸凹コンビが駆け巡る――あさのあつこ、後藤竜二の高評価を得たジャイブ小説大賞受受賞作!【解説/東雅夫】
(引用元 https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8111085.html


 鬼の名前が可愛らしい小春という名でちょっとびっくり。そんな感じで読み始めました。
 妖怪達がみんなユニークで面白い! 河童、天狗といったメジャーなものからマイナーなものまでたくさん。髪切虫もなかなか面白い。そんな妖怪達が活躍する中、主人公の喜蔵と小春の家族愛とも友愛ともいえるような心温まる話があったり、喜蔵と深雪の兄妹愛のわかるような話があったり。この家族の父と母が別れるに至るまでの理由がなんだか切なかったです。世の中上手く行かないものですね。そんなしんみりしてしまう喜蔵たち家族ですけども、喜蔵と深雪この2人が兄妹だとわかった時の妖怪たちの反応には笑っちゃいました。驚いてしまう気持ちはわかりますが。
 小春のこれまでの生い立ちの話は今の小春を考えるとやっぱり切ない。喜蔵との出会いは必然だったんだななんて思ったり。喜蔵と小春の別れの場面は印象的でした。
 可笑しさの中に切なさあり、と絶妙なバランスのお話でした。キャラたちの色んなエピソードが見れたのも良かったです。

★シリーズたくさん出ているようです。特設ページがあります。
www.poplar.co.jp


知野みさき『鈴の神さま』

四国の山間にある小さな町・高野町を舞台に、さまざまな時代に生きる人々と、愛くるしい男の子の姿をした鈴の神さまのふれあいを温かく描いた短編連作。
(引用元 https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8000816.html ※単行本)

 鈴守の安那様がどの時代でもたいへんかわいらしゅうございました。神さまらしくない神さまだけど、冬弥がいうように元気はたくさんもらえるかも。
 舞台が同じなので、登場人物もそれぞれどこか繋がってる。この人があの時のあの子か! と成長に驚いてみたり。他の短編の登場キャラが出世してたり。それを見ると、神様の力なのかもと思ったり。なんとなく冬弥と雛屋の志帆さんにフラグが立ったような気がしないでもない。雛屋は歴史が長いんですね。和菓子おいしそう。
 最初の話で冬弥と安那の再会の約束が果たされず、なんだか寂しい気持ちになったのですが、最後の話の再会シーンにはぐっときました。「とうとう、夏休みが来たのじゃな!」この台詞がまた良かったと思う。温かい気持ちになりました。

収録内容
 鈴の神さま 1996年春
 引き出しのビー玉 1945年夏
 ジッポと煙管 1988年冬
 秋桜 2005年秋
 十四年目の夏休み 2010年夏


★単行本(装画:おとないちあき)



天堂里砂『百鬼夜行の少年 鏡ヶ原遺聞』

イラスト:ひだかなみ

幼い頃から視えることを否定されてきた高校生の秀一。父親を亡くし引き取られたのは、何と妖怪がわらわら生息する《鏡ヶ原》で!? 元気いっぱいの妖怪に囲まれた秀一の運命は?
(引用元 http://www.chuko.co.jp/ebook/2011/01/513416.html

 二段組構成。
 普通の人には見えないものが視える少年・秀一が主人公。「視える」といえば嘘つき呼ばわり、誰からも信じてもらえない、幼い頃傷ついたぞれがずっとしこりとなって残り続けていたのですが…。父を亡くし、紆余曲折を経て鏡ヶ原の寺に引き取られた先で生活していく中で、秀一の心境も少すずつ変化していく。

 この巻に収録されているのは「妖怪ヶ原と水虎」「妖怪ヶ原と姫神」の2つ。先の話で秀一は<姫神の魔鏡>を居候先の神宮寺から受け取り、過去を垣間見る能力を手に入れ、自分と同じ境遇であった女の子の霊のために行動を起こす。そして、あとの話では同じ能力を使い、今度は自分の父の過去を見てみることに。父親の生前はあまり会話という会話はなかったようだけど、鏡を見ることで父親の本心が少しでも見れたのは秀一にとっては良かったのかもしれない。心もちょっとは晴れたようだし。
 しかし、あの無口のように描かれたお父さん、意外と情熱的だったんですね。(なんか違うかもだけど)○○のことを愛してしまうなんて。二人にはどんな過去があったんだろう。お父さんが作ってたらしいお守りの奴凧のエピソードも好き。もっと詳しく触れられないんだろうか。
 過去といえば、神宮寺も気になる。ただ者じゃなさそうだと思ってはいたけど、ほんとにただ者じゃなかった! 美崎家まわりも含め、そのうち描かれそうですね。個性的なキャラ、妖怪たちのやりとりが面白く可愛かったです。絵も可愛かった! コダマとか井守とか。ミヤビちゃんもあまり見ない妖怪キャラで気に入ってます。個性的すぎます! 出て来ると場の空気が和む気がする。秀一の生活もこれから! って感じですので、これからのドタバタも楽しみです。


仲町六絵『南都あやかし帖 君よ知るや、ファールスの地』

南都。京の都のごとく栄えるこの都市に、異国の血を引く青年妖術師・天竺ムスルがいた。彼のもとには、あやかしに関わる刀剣や事件が舞い込んで――古都を舞台に紡がれる、ジャパネスク・ファンタジー。
(引用元 https://mwbunko.com/product/321412000277.html


 天竺ムスルって変わった名前だなあなんて思いながら読んでたのですが、実在していた人物だったと知って驚きました。
 そんな実在していた人物たちの登場する和風ファンタジー。雰囲気があってとても良かったです。妖術とか異国のこととか、あやかしとか、ちょっと怪しげな感じもいいです。
 ムスルと葉月の関係がもどかしかったですが、鳥のタラサがいい感じに和ませてくれますね。かわいい。各章の合間に挟まれるコラムも興味深かったです。

 この方の幼名が「ムスル」。父が天竺(インド)人。
 楠葉西忍 - Wikipedia


仁科裕貴『座敷童子の代理人』

装画:細居美恵子

人生崖っぷちの妖怪作家・緒方司貴がネタ探しに向かったのは、座敷童子がいると噂の旅館・迷家荘。だが、司貴はいなくなってしまった座敷童子の代わりに、謎の少年に導かれ、妖怪の悩みを解決することに!?
(引用元 https://mwbunko.com/product/zashikiwarashi/321502000507.html


 妖怪が登場するほっこり小説。好みの雰囲気の話でした。
 小説家生命の危うい妖怪小説家が遠野旅館「迷家荘」へ小説のネタ探しに訪れて、旅館の細々とした事件や悩みを座敷童子や河童たちと解決していくという話。よくあるパターンだけど、座敷童子が実は…。主人公にも驚いた。過去の話は本文中に出ていたけど、座敷童子と主人公が過去に―――(重要なネタバレだと思われますので伏せています)いたとは! エピソードのなかでは、仲居の幸村さんの神様との結婚式の話は感動しました。

 続きがたくさん出ている人気シリーズのようです。特集ページがありました。
 『座敷童子の代理人』特集 | メディアワークス文庫公式サイト


峰守ひろかず『絶対城先輩の妖怪学講座』

装画:水口十

東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室。妖怪に関する膨大な資料を蒐集する長身色白やせぎすの青年・絶対城阿頼耶。彼の元には怪奇現象に悩む人々からの相談が後を絶たない。そして今日も一人の少女が扉を叩く。
(引用 https://mwbunko.com/product/yokaigaku/311860500000.html

 妖怪系の話は好きなので、作中の妖怪談義は興味深かった。ただし、あとがきに注意として、全てが正しい情報ではないということが書かれてました。丁寧な作者さんです。了解しました。
 最初はホラーっぽい話なんだろうかと思ってたんですが、どちらかといえばミステリですかね。妖怪絡みの相談にしても全部タネありだったし。なかには、ほんとの妖怪絡みの話も混じっていましたが。織口先生の正体とか、ユーレイの持つ能力だとか。伏線もしっかりあったので、先輩の口から明かされたときは、なるほどなと思いました。

 こういう話はキャラの性格にクセがありすぎて、ちょっと苦手と思うことも多いんですけど、この話のキャラはクセもそれほどではないし、嫌味もそんなに感じず、好感が持てました。キャラ同士のやりとりも微笑ましかった。あと、「絶対城」って変わった苗字だなあと思って読んでたんですが、自分でつけたりとかその苗字にも色々なエピソードがあるようで。先輩の家のこととか、妖怪学に進んだ理由とかも今後語られていきそうですね。どうやら続編出るっぽいようですし。ともかく楽しく読めました。

収録内容
 一章 べとべとさん
 二章 幽霊
 三章 付喪神
 四章 馬鬼
 五章 ぬらりひょん
 補章 覚

 こちらも続編たくさん出ている人気シリーズのようです。(読んだ当時は1巻しか出てなかった)特集ページもありました。
 『絶対城先輩の妖怪学講座』特集 | メディアワークス文庫公式サイト


行田尚希『路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店』

装画:㐂岡 一

加納表具店の若き女主人は、掛け軸を仕立てる表具師としての仕事の他に、裏の仕事も手がけていた――。人間と妖怪が織りなす、どこか懐かしい不思議な物語。第19回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。
(引用元 https://mwbunko.com/product/311816900000.html


 妖怪が出てくる話は好きなので、楽しく読みました。探偵役というか事件を解決に導くキャラが表具師ということで、事件はどれも絵にまつわるものばかり。どれも解決後は心温まる感じの話で、読後感はよかったです。
 またメインキャラのほとんどが妖怪なんですけど、あまり妖怪っぽさを感じさせませんね。雪女の夏のバイト先だとか、河童の一押しヘアスタイルだとか、詐欺師になれない狸とか細かな設定がおもしろかったです。表具師という職業にも興味を持ちました。
 洸之介くんの絵は今回は完成しなかったので、完成は次回でしょうか。機会があれば続編も読みたいです。

ja.wikipedia.org