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岩崎夏海『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

イラスト:ゆきうさぎ
高校生が主人公。野球部。

敏腕マネージャーと野球部の仲間たちが甲子園を目指して奮闘する青春小説。高校野球の女子マネージャーのみなみちゃんは、マネージャーの仕事のために、ドラッカーの『マネジメント』を間違って買ってしまいます。はじめは難しくて後悔するのですが、しだいに野球部のマネジメントにも生かせることに気付きます。これまでのドラッカー読者だけでなく、高校生や大学生、そして若手ビジネスパーソンなど多くの人に読んでほしい一冊。
(引用元 https://www.diamond.co.jp/book/9784478012031.html


 萌え系の表紙なので、最初少し誤解をしていましたが、中身はちょっと良い話系の青春小説でした。
 タイトルにもあるように、この物語にはドラッカー『マネジメント』の内容が切っても切れないものになっているんですけど、引用もしっかりあるし、主人公の女子マネージャー・みなみを通して割とわかりやすく説明されているので、事前に『マネジメント』を読んでなくても、十分に楽しめます。むしろ、ちょっと興味を持ちました。手軽に読めるので、本家を読む前に読んでみるのもいいのかも。

 内容は先に少し触れましたが、これは野球部の女子マネージャーになった主人公がドラッカーの『マネジメント』を参考にしてダメ野球部を立て直そうとする話。『マネジメント』を部活などのマネージャー業の参考書だと勘違いしたことから、主人公はこの本を手にとるのですが、そのアイデアがなかなか面白いなと思う。そして、ドラッカーの言葉が、そのまま高校野球部にも使えることに驚きました。無茶なことを言ってる(大袈裟に誇張されてる。まあ、ドラマチックにした方が盛り上がるし)ようでも、筋道はしっかりしてるので展開に然程無理はないように感じた。

 最初は全然息のあってなかった野球部員たちが共に苦境を乗り越え、試合を勝ち進んでいく。甲子園への切符を手に入れたときにはこっちも「おお!」と思わず感動してしまいました。部員や周りの協力あってこそなんだろうけど、やっぱり主人公のみなみの働きは大きかったと思う。でも、そんなみなみがマネージャーになったのは、親友の夕紀のためで。野球部を甲子園に連れて行きたいと思ったのもその親友のためで。友情ってすごい! だからこそ、終盤の彼女の死の部分が妙に印象に残っています。

 ほかに印象に残っている場面としては、春道がファインプレーをしたあとの文明が彼に抱きついて喜んだ、という場面。それと、最後の試合の祐之助(字が自信ない)のサヨナラヒットをする場面。後者は昔みなみが少年野球でサヨナラヒットをしたのを見て感動した、っていうのを夕紀が語ったのを聞いて再現してみたってやつなんですけど、なんかこうジーンとしました。彼は片思いしてたっぽいので余計に。あと、ラストのマスコミの「どんな野球をしようと思っているか」的な質問に対して(これもちょっと自信ない。ニュアンスはこんなだった気が)キャプテンが言った「あなたはどんな野球が見たいのか」という台詞もこの物語にあってて良い締めだなと思いました。
 わかりやすい話だけど、文章の書き方が気になる人はいそうだ。慣れればそんなに気にならないんですが、小説読みなれてる人ほど読みづらいと感じそう。