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結城光流『少年陰陽師』シリーズ その2

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 結城光流著の『少年陰陽師』シリーズの読書記録の6~10巻分をまとめました。
 きれいな表紙が並んでいると私が嬉しいので、角川ビーンズ文庫、角川文庫、両方の書影リンクを貼っています。
 全体的にテンションが変なので読みづらいです。

 角川ビーンズ文庫 イラスト:あさぎ桜
 角川文庫 装丁: 角川書店装丁室 西村弘美
 角川文庫 天狐編~ 装画:三木謙次

少年陰陽師』シリーズ

『黄泉に誘う風を追え』

以前から暗躍していた謎の”宗主”がついに行動を開始。当代の帝に連なる者を呪詛し、また冥穴をうがって黄泉の風を呼び起こし始める。さらに宗主の部下・風音は、幼い皇女・脩子をさらって姿をくらませた――!!
(引用元 https://beans.kadokawa.co.jp/product/series2/200211000165.html


 今回は笑いどころより断然シリアスな場面が多かったです。いつもの御馴染みでもあった雑鬼たちによる昌浩潰しが見られなかったのは残念…というか寂しい。やっぱりあれがないと(笑)

 この巻で話が一気に動き始めた気がします。風音もその背後にいる人物も。謎が明かされ、断片的にわかっていたものが1本の糸に繋がったような感じでしょうか。それでもまだわからない部分、というかはっきりと断言された書き方がされてない部分もあるんですけどね。展開があったといっても良い方になのか悪い方になのか…昌浩としては悪い方なんだろうなあ。私も色々ショックでしたし。もっくん! 紅蓮!(同じですけど)彼がいないだけで、こうも違うのか。寂しすぎます。大丈夫なんでしょうか。高お(漢字がわからない)の神さま曰く状況は絶望的なようですが。
 十二神将が人を傷付けることはご法度というのは前に書かれてましたけど、まさか紅蓮が人を殺めていただなんて。でも、その経緯はとても切ないものでした。青龍との間にはわだかまりというか、ずっと誤解があるみたいですけど、経緯を知ったところで青龍は紅蓮を許さないだろうし、紅蓮も紅蓮で許してもらおうなんて思うことはないんでしょうね。だから、今回彼が昌浩を傷付けたことも、昌浩がどんな言葉を言っても、きっと紅蓮は自分を許さないんだろうなと思います。ああ、でもほんと無事でいてほしいです。もっくん!

 十二神将は今回も皆さん大活躍って感じでした。新しく見る名前もあったり、彼女の今後の活躍が気になります。あと六合。風音との関係はどういうふうになるんでしょうね。人間と神様だからどうもならないのかもしれないけど、彼は彼女を気にかけているようですし。寡黙なところとは裏腹に情が強いらしいですからね、彼は。コンビとしては玄武と太陰のちびっこコンビが好きです。かわいい。
 この話で昌浩は彼の手によって死に近い傷を負わされたのですが、それを一身に背負った天一もとても心配です。彼女、見た目が儚げなだけにいつもこういう役回りになってしまっていて、朱雀同様こっちも気が気じゃないです。それが彼女の力っていうこともわかってるんですがね。でも、自分を曲げない天一はほんと綺麗。朱雀がべた惚れなのもわかります。昌浩より天貴! となんの戸惑いもなく断言しちゃうだけあります。そんなところがいいのですが。

★角川文庫版

少年陰陽師 黄泉の風 (角川文庫)

少年陰陽師 黄泉の風 (角川文庫)



『焔の刃を研ぎ澄ませ』

謎の宗主の陰謀で、体を黄泉の鬼に乗っ取られ昌浩を襲った神将・紅蓮。紅蓮を救うにはどうすればよいのか!? 答えが出ないまま、少年陰陽師・昌浩は、宗主の本拠地・はるか西国に向かうが…!衝撃のシリーズ第七弾
(引用元 https://beans.kadokawa.co.jp/product/series2/200304000029.html


 風音編もこの巻で終わり。なんかあっという間だったなあという感じ。勢いに身を任せて一気に読破しました。感動です。泣けます。うっかり泣きました。
 昌浩の紅蓮に対する真摯な思い・決意にはもちろんのこと、風音の過去とか六合と風音の最後のやりとりもこれがまた泣かせるんです。風音の鴉は風音を人質に取られて監視されていたから真実を何も言えなかったんですね。悔しかっただろうな。
 多くを語らない男である六合が放つ言葉でとても重いというか、特別なときに言う分深いと思いました。「そばにいろ」の部分とか、うわ~! ってなりました。彼が清明からもらった「彩煇」という名前の字面が綺麗。清明以外に初めて教えたというのが風音というのがツボでした。

 話は変わって、自分の心(命)と引き換えに紅蓮を生かそうとした昌浩。自分がいなくなっても誰も悲しませないようにみんなの心から自分の記憶を消して欲しいと清明に頼んだ昌浩の心情はどのようなものだったのでしょう。私には到底わかるはずはないわけですが、相当辛かったことだけはわかります。それに関して、昌浩に関わった全員の記憶から彼が消えたとしても、皆の記憶を消す清明の記憶の中には昌浩が残るんだよなあと思うとすごく切なく悲しく思って、昌浩はちゃんとそこんとこ考えたのかなあと思って読んでたのですが、彼も一応は考えてたみたいですね。なんとなくほっとしました。
 たぶん、三途の川の場面だと思うんですが、昌浩とまだ若い祖母・若菜との対面のシーンもなんか泣けました。静かな感じで、でも温かくて。彰子ちゃん、いつも昌浩の身を案じてるんだなあ。匂い袋の件のところもはっとさせられます。

 もっくんが後半ちょっとだけ帰ってきました。もっくん! でも、記憶がなくなってるっぽいですね。清明のことは覚えているようだけど。(この辺もいまいちわかりませんけど)匂陣のことを「匂や」と呼ぶ紅蓮がなんか不思議な感じでした。紅蓮は十二神将の皆さんとはあまり良い付き合いのようには思わなかったのでなんか新鮮。仲良かったんですかね。彼女も彼女で紅蓮のことをすごく心配してましたし。そういえば、匂陣の絵は今回が初めてですよね。かっこいい美人さんでした。姐さんタイプっぽいです。

 十二神将といえば、この巻でも玄武と太陰はよくセットになってました。(彼等も色々な葛藤の中で敵と対峙してたと思う)六合とこの2人のセットはまさに保護者と被保護者でなんか可愛かったです。天一も目を覚ましたようで何より。朱雀が同族殺しを許されているという新しく出てきた設定にびっくりでした。彼の「誰も嫌いじゃない」という台詞が妙に印象的。なんでもない言葉なんだけれど。天一だけに「好き」という言葉を使うんですね。あと、天一の朱雀に対する「二度とあなたを悲しませない」(だっけ?)という台詞、やっぱりこれは以前そのまま死んでしまったことがあるんでしょうかね。それだったら清明のところの話かな。
 風音編はこれで終わったわけなのですが、今後の展開にも目が離せませんね。もっくん!

★角川文庫版

少年陰陽師焔の刃 (角川文庫)

少年陰陽師焔の刃 (角川文庫)



『うつつの夢に鎮めの歌を』

陰陽師晴明の孫ながら見鬼の才が全くない昌浩・13歳。都の路を歩いていると目の前にぽとりと、不思議な物の怪が落ちてきて…。昌浩ともっくんの出会いを描く注目の一作の他、書き下ろし短編も含め計四作を収録!
(引用元 https://beans.kadokawa.co.jp/product/series2/200304000030.html


 少年陰陽師の番外編。4つの短編を収録。そのうちの表題でもある「うつつの夢に鎮めの歌を」と「玉箒は愁いを祓う」は書き下ろしだそうです。

霧の籬を吹き払え

 まだ昌浩に見鬼の才が戻ってないときの話。そして、もっくんとのファーストコンタクトの話です。昌浩が覚えていないだけで、本当はもっと前に会っているようですが。そういえば、本編でも昌浩ともっくんの出会いについては少し触れられていましたね。
 昌浩ももっくんも相変わらずで、昔からああだったんだなあとなんとなくしみじみ。また初めから読み直したくなるような話です。

朧の轍をたどれ

 愛すべき妖車、車之輔がメインの話。式にくだっていない妖は他の人間に調伏されてしまいかねないから、ということで昌浩は自分の式にくだらないかと車之輔に提案する昌浩。普通、人間の式なんかにくだるか! みたいに思うのではないかと思うのですが、昌浩の提案に喜ぶあたり、やっぱり車之輔だなあ。
 式にくだした後はじい様と同様に橋の下にいてもらうとのこと。じい様と同じってところがなんか可愛いなあと思います。そして、やっぱり役に立てることが嬉しいと思う車之輔も可愛いです。

うつつの夢に鎮めの歌を

 年末年始の慌しい中、色々人の出入りの多い安倍家から離しておかねばならないと、彰子姫は清明に指示を受け、離れた家へと身を移す。その家なんですが、ずっと人が住んでいなかったということで、とてもではないけれど人が住める雰囲気ではない。そこで借り出されたのがやっぱり昌浩なんですが、その屋敷に住む雑鬼たちに掃除を手伝ってもらっちゃうという考えがなんとも。雑鬼たちに掃除を教えるもっくんという図もなんともいえないものがあります。癒される。
 しかもこの雑鬼たち、完璧にではないにしろ昌浩たちが必要なところを掃除して、帰ったあとも自分たちだけで掃除をしているんですよ。それで彰子姫も身を移したあとに雑鬼たちに導かれて、最近触れることも少なくなったという琴に出会うのですが。
 その琴というのがまた切ない過去を持っていまして。姫と横笛師の契りを知らないうちにでしたが彼らの代わりに果たした昌浩と彰子が、ほんとにその2人の姿と重なるような気がしました。趣があります。

玉箒は愁いを祓う

 安倍清明と高淤の神が杯を交わす話。10頁と短い頁ですが、その中に清明の孫に対する思いとかよくわかります。夜に昌浩が出て行ったときも彼が帰ってくるまで起きて待っていたりとか。温かくなる話。

 本編がシリアスな分、ほのぼのとした話が多かったです。もっくんがとても久しぶりな気がします。昌浩ともっくんのやり取りが懐かしかったです。あと、雑鬼の割合もいつもより高めで癒されます。


『真紅の空を翔けあがれ』

先の戦いの後遺症で見鬼の才を失ってしまった昌浩は、紅蓮の言動に悩み傷つく日々を送っていた。そんな中出雲で、人々が妖に憑かれていくという事件が起こり…。果たして昌浩と紅蓮の絆は、元に戻るのか!?
(引用元 https://beans.kadokawa.co.jp/product/series2/200309000023.html


 急展開で幕を閉じた風音編でしたが、この巻から始まる新章も結構怒涛な展開です。
 昌浩自身が選んだ道なんですが、傍にいるのが当たり前だった存在のもっくんが自分のことを忘れてしまい、なおかつ態度も冷たいってことで、ただでさえ体はぼろぼろなのに心もぼろぼろになってて読んでて痛々しかったです。十二神将もみんな(一部除く)昌浩を心配してましたし。ちょっと、もっくんに対する態度が刺々しくはないかと思いました。そりゃあ手厳しい態度をもっくんは取っていたわけですが、記憶がなくなってしまったのは彼のせいではないわけですし、それを言っちゃああれだとは思うんですが何も覚えてないわけですしね。

 昌浩と彰子の夢の中での逢瀬も切なかったです。昌浩が傷ついているというのもわかってて、抱きしめたいと思っているのにそれが出来ない彰子の気持ちとか。逆もまた然り。清明と若菜さんの会話もすごく切なかったです。彼らの子供たちや十二神将の会話から想像する若菜さんは頼りないというイメージを持ってしまうのですが、実は肝の据わった人なのではないかと思う。本当にお互いを想い合ってるんだなあと思う場面でした。

 新章で新たに現れた敵、まだあまり頭角を見せていないのか、私にはさっぱりわからないというか、その話の合間にある昌浩ともっくんの話に持ってかれてしまったせいで全く覚えていません。理解していないともいう。今後も気になりますね。

 そして、特筆すべきはもっくん。言いたい言葉はお帰りなさい! ですかね。まだ仲直りしていつものような軽口を言い合えるまでには至ってませんが、もっくんに記憶が戻りました。よかった! 見鬼の才を失ってしまった昌浩ですが、もっくんが傍にいるというそれだけで凄く心強いんだろうなあと思います。
 玄武と太陰のコンビが活躍する場面が多々ありました。このコンビ好き! そしてお父さんな六合。匂陣は姉御と呼びたいです。

★角川文庫版



『光の導を指し示せ』

『視る』力を失ってしまった昌浩と、辛い記憶を取り戻した物の怪は、無事都に帰還する。そんな中、昌浩の祖父・晴明は、中宮・章子にまとわりつく黒い影に気づく。その裏には、謎の怪僧、そして新たな敵の存在が…?
(引用元 https://beans.kadokawa.co.jp/product/series2/200312000035.html


 安倍清明は狐の子、そんな話がちらちらと作中でも出てきたことがありましたが、それはガセではなかったようで。人間ではなかった清明の母の血は昌浩に受け継がれ、それが彼の失った能力を補うために覚醒しつつある。その血を追って、新たな敵の登場。そして、新たなストーリー「天狐編」の始まりです。

 昌浩が無茶やるのはいつものことで、ちょっとは大人しくしてないさいよ無理しないでよと思うのもいつものことですが、あの飄々として何やっても死ななさそうな清明がついにお倒れになってしまいました。
 前巻のときくらいから心配はしていましたけど、まさか本当にそうなるとは思っても見なかったので、十二神将や安倍家の皆さん同様ヒヤリとした気分でした。心臓をぎゅっと掴まれたような感覚にも似ているかもしれない。十二神将にとっても安倍家の人々にとっても清明という人はほんと大きな人なんだなあと思います。

 清明が倒れ、新たな強力な敵とも相対し、1巻の間に様々なことがあったわけですが、その間にもぎくしゃくしていた昌浩ともっくんの仲がほんの少しかもしれないけど戻ってきているようで何より。また前のようなやり取りが見れるようになるといいです。恒例の雑鬼たちによる潰されも。(今回はもっくんでした。雑鬼たちにも色々思うところはあるようです)
 清明の身を心配する十二神将、昌浩の身を案じる清明や彰子に十二神将、そして十二神将を傷つけたくないと思う昌浩。皆が皆誰かを大切に思ってて、それがしっかりと伝わってきて切なくも暖かく感じました。紅蓮と匂陣のさっぱりとしているようで意外と深い信頼関係が好きです。

★角川文庫

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