文字を食べる

自分用の読書備忘録ブログです。

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角田光代『キッドナップ・ツアー』


 主人公の女の子・ハルはクールで、育った環境の関係もあるんだろうけど、世の中に向ける目もどこか冷ややか。そんな女の子が実のおとうさんに誘拐される話。
 話はハルの視点でたんたんと進みます。ハルのクールな考えは最初の部分ではほんとにこの歳の子が考えるものなかって思うものだったのですが、話が進むに連れて(ユウカイされておとうさんと過ごす時間が長くなってゆくに連れて)だんだん生来の子供っぽさなんかが出てきたように思います。あと、時々どきりとさせられる部分もあったり。子供ならではの考えなしな部分とか。淡々とした文章の中にある静かな雰囲気が好きです。
 ラストにはちょっと肩透かしを食らいました。散々おとうさんがもったいぶって引っ張った、ハルをユウカイした目的やハルのおかあさんと交わした要求のことがわかると思ったのですが…。この辺は読者の想像におまかせということなんでしょうか。
 だらしなくて、情けなくて、お金がないというどうしようもないハルのおとうさんですが、私はそんなに嫌いじゃないです。

★私が読んだのは単行本でした。かわいい!(装画:唐仁原教久)