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梨木香歩『西の魔女が死んだ』

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装画:早川司寿乃

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
(引用元 https://www.shinchosha.co.jp/book/125332/

 引用元のページで女優の原幹恵さんのコラムが読めます。
 
 「西の魔女が死んだ。」
 頁を捲ったときに最初に飛び込んできたのは「西の魔女が死んだ」というタイトルにもなっている短い文章でした。明快な一文ですが、このたった一文に結構な衝撃を受けました。不意打ちを食らったようなそんな感じ。
 主人公であるまいの祖母が亡くなる、そこから話は始まります。だからといって本編に「死」という悲劇的な要素が詰まっているわけではありません。詰まっているのは主人公がおばあちゃんの家で暮らした日々のこと。あちこちに散りばめられたおばあちゃんの知恵や自然の中での生活が物語に色をつけてるのではないかと思う。

 泣けると評判の本ですが、例にもれず自分も泣きました。わっと感情の波が押し寄せて滝のように泣くというようなものではなくて、じわじわと何かがしみるように広がっていつの間にかぽろりと涙が、という感じでした。わかりにくいですが。しかし、おばあちゃん大好きなので、こういう話は胸にくる…。
 おばあちゃんがとても素敵な本でした。「おばあちゃん、大好き」「アイ・ノウ」このやりとりがすごく好きです。心が温かくなるというかなんだかおおらかな気持ちになります。
 美しい文体に描写。頁数も多い方ではないので割とすぐに読めます。この作品のこと、気になっているけど手にしたことがないという方は一度読んでみることをおすすめします。


★映画

西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ

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