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青崎有吾 裏染天馬シリーズ

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 青崎有吾著の裏染天馬シリーズの読書記録をまとめました。続編ください!
 表紙絵の大ファンなので、単行本・文庫両方の画像リンクを貼っちゃいました。
 高校生が主人公。

 装画:田中寛崇

裏染天馬シリーズ

『体育館の殺人』

風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。外は激しい雨で、密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。アニメオタクの駄目人間に──。“平成のエラリー・クイーン”が、論理に磨きをかけて読者に挑戦! 第22回鮎川哲也賞受賞作、大幅改稿で登場。解説=辻真先
(引用元 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488443115

 注:単行本の方の感想です。
 表紙の絵と直球なタイトルに惹かれて読みました。巻末の解説にもあったけど、トリックはちょっと無理な感じがあるような感じだった。けど、一応納得できるものだったし、話も面白くてすらすら読めました。学園が舞台で殺人事件って最近だと珍しい気がするんですがどうなんでしょう。日常の謎系も好きだけど本格ミステリはやっぱり面白い。現場に残された1つの傘からの謎解き。1つの真実にたどり着くまでの推理は楽しかったです。犯人の正体に驚きこそはしませんでしたが、過程はどきどきしました。
 登場キャラも割と好きでした。オタク設定の裏染くんですが、結構なジャンルを網羅してますね。年代もばらばらだし。彼が何のキャラのことを言ってるのか大体わかってしまった自分が悲しい。おジャ魔女とかウテナとか懐かしい。
 シリーズ化してるっぽいので続きも読みたいです。あと、館シリーズ読みたくなりました。


★単行本





『水族館の殺人』

夏休み真っ直中の8月4日、風ヶ丘高校新聞部の面々は、取材先の丸美水族館で驚愕のシーンを目撃。サメが飼育員の男性に食いついている! 警察の捜査で浮かんだ容疑者は11人、しかもそれぞれに強固なアリバイが。袴田刑事は、しかたなく妹の柚乃に連絡を取った。あの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン”が、今度はアリバイ崩しに挑戦。解説=飯城勇三
(引用元 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488443122

 裏染シリーズの第2弾。今回もまたインパクトのある事件ですね。水族館で職員がサメに食われる…。想像するとかなりエグい。アリバイトリックは正直一回読んだだけでは私の頭では理解しきれませんでした。分刻みのアリバイ証明とか、犯人の殺害前殺害後の行動だとか。ちょっと今回も推理が強引な感じがしましたが、話はおもしろかったです。裏染くんの話も堂に入ってるし。
 そういえば裏染くんといえば、彼は大概アレなおたくですが、妹さんも相当アレな子ですね。曲作りをしているということはボーカロイドでしょうか…。今回もいたるところにアニメネタやら何やらが仕込まれていて、くすっとしました。クールボイスの緑川氏などなど。章のタイトルとかも色々もじったりされてますよね。僕は妹に乞いをするとか、これもちょっと無理矢理感が。でも、それがいい。
 あと登場人物にそれぞれ個性があっていいですね。前回から引き続き登場のキャラは特に。親しみがわいてきます。八橋さんはいいように使われてますね。今後も彼女はこき使われそうですね。
 ラストの裏染くん、犯人に対してかなり意地の悪い言い方してましたが、嘘だの何だのに苦い思い出があるんでしょうか。彼がなぜ部室で暮らしているのか、家族のことに少し触れられていたりしましたが、続編でもう少し明らかになるんでしょうか。気になります。


★単行本




『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』

夏祭りにやって来た、裏染天馬と袴田柚乃たち風ヶ丘高の面々。たこ焼き、かき氷、水ヨーヨー、どの屋台で買い物しても、お釣りが五十円玉ばかりだったのはなぜ? 学食や教室、放課後や夏休みを舞台に、不思議に満ちた学園生活と裏染兄妹の鮮やかな推理を描く全五編。『体育館の殺人』『水族館の殺人』に続き、“若き平成のエラリー・クイーン”が贈るシリーズ第三弾は、連作短編集。解説=村上貴史
(引用元 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488443139

 裏染シリーズの第3弾、日常の謎を扱った短編集です。推理ものとしては、ちょっと物足りないような気もしたけど、楽しく読みました。五十円玉祭はオチに呆れちゃいました。しょうもない。だけど、そういう緩い(?)感じが日常の謎らしい気もします。
 今回の短編ではこれまでに出たキャラのクローズアップもあったり、相変わらずキャラが個性的で面白かったです。針宮さんの話はほっこりしました。この子はほんとに不器用なだけなんだなあと。あと裏染兄妹は兄も兄だけど、妹も大概ぶっ飛んでますね。学校ではお姉さまキャラだったとは。サウナにて、裏染父も少し出てきたけど、この親にしてこの子ありって感じでしょうか。軽妙な会話は楽しかったです。勘当の理由はまだわからないけど、案外しょうもない理由かも、という気がしないでもない。
 フラグというか伏線というかがあったけど、次回の舞台は図書館でしょうか。楽しみです。

収録話

 もう一色選べる丼
 風ヶ丘五十円玉祭りの謎
 針宮理恵子のサードインパクト
 天使たちの残暑見舞い
 その花瓶にご注意を
 おまけ 世界一居心地の悪いサウナ


★単行本



『図書館の殺人』

期末テスト中の慌ただしい9月、風ヶ丘図書館で死体が発見された。閉館後に侵入した大学生が、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺されたらしい。しかも現場には一冊の本と謎のメッセージが残されていた。警察に頼まれ独自の捜査を始めた裏染天馬は、ダイイングメッセージの意味を解き明かせるのか? ロジカルな推理、巧みなプロットで読者を魅了する〈裏染シリーズ〉第4弾。解説=佐々木敦
(引用元 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488443146

 裏染天馬シリーズ好きなので、続きが読めるのを楽しみにしてました。今回の事件の舞台は図書館! 体育館、水族館ときて、いつか来るだろうとは思っていましたが…。なぜ閉館後の図書館で殺人が起きたのか。この謎を考えるのはなかなか楽しかったです。ところどころの小ネタも楽しい。章タイトルとか、司書さんたちの名前とか。コナンの図書館の事件はトラウマです。アニメ、漫画知ってるとくすっとできておもしろい。

 犯人は解説編読むまでわからなかった。難しい。犯人の犯行動機がいまいちわからないというか、納得できない部分があったのですが、トリックはなるほどなあと感心しました。ダイイングメッセージの「く」のこととか。なんとなく物悲しさが漂うラストでした。
 このシリーズ、事件の方は虚しいとような悲しいような何とも言えない気持ちになることが多いのですが、その分、日常パートがコメディタッチなのがいい。メリハリがあるというか。今回も期末試験の様子が描かれていて、天馬が同級生たちと仲良く(?)会話してるところなどは意外に思ったり。前作までに出てきたキャラも多数登場して賑やかでした。今作で初登場の図書委員長さんも今後出るのでしょうか。地味なフラグもあったといえばあったような気もしますし。天馬の過去に触れる謎も出てきたところで終わりましたが、続きがすでに気になります。次は美術館か博物館か、それとも映画館か…。


★単行本