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読書の備忘録ブログです。

柏葉幸子作品 読書記録まとめ

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 数がそこそこあったので、柏葉幸子作品の読書記録をまとめました。数が増えたら分けます。
 柏葉幸子さんの話は子どもも大人も楽しめるのでおすすめ。

柏葉幸子作品

『霧のむこうのふしぎな町』

絵:杉田比呂美

心躍る夏休み。6年生のリナは1人で旅に出た。霧の谷の森を抜け、霧が晴れた後、赤やクリーム色の洋館が立ち並ぶ、きれいでどこか風変わりな町が現れた。リナが出会った、めちゃくちゃ通りに住んでいる、へんてこりんな人々との交流が、みずみずしく描かれる。
(引用元 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000146130


 昔読んだような記憶がありますが、もう一度ちゃんと読みたくて読んでみたもの。これ、『千と千尋の神隠し』が影響を受けた作品らしいですね。言われてみるとそんな雰囲気がありますね。
 働くざるもの食うべからず。夏休み、ふしぎな町・めちゃくちゃ通りにやってきたリナが色んなお店で働き、その中でいろいろなことを教えてもらう話。ナータの本屋さん、シッカのせともの屋さんなど不思議で魅力的なお店がたくさん。めちゃくちゃ通り行ってみたい。

 リナがめちゃくちゃ通りを離れるシーンは読んでるこちらも寂しい気持ちになりました。通りのみんなのお土産にまたぐっときました。ピコットばあさんのお土産はなかでも嬉しいものですね。ピコットばあさんは意地悪で厳しいな物言いだけど、間違ったことは言っていなくて、その言葉は色々と考えさせられます。時々目線が優しかったり、ただの意地悪なおばあさんじゃないんだよなあ。温かい気持ちになりました。

★単行本も好き。(絵:杉田比呂美)

他にもいろんなバージョンの表紙があって楽しい。
きっと、それだけ愛されている作品なんだなあ。


『つづきの図書館』

絵:山本容子

「本をさがすんですよね。」
「いやいや。本をさがしてもらいたいのではない。青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ。」
「本ではなくて、青田早苗ちゃんのつづきですか?」
桃さんには、さっぱりわけがわからない。田舎の図書館でおこった、不思議なできごとに、司書の桃さんはいやおうなしに巻きこまれてしまいますが…。
本を愛する人、本に愛された人すべてに贈る、心あたたまるファンタジー。
(引用元 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000185778

 小学館児童出版文化賞受賞作。
 タイトルが気になって手にとった本です。「はだかの王様」の王様、「おおかみと七匹の子ヤギ」の狼(狼王ロボからロボと名付けられる)、「うりこひめ」のあまのじゃく…と本の中から本を読んでくれた人のつづきが知りたいと飛び出してくる。桃さんはそんな彼らが知りたいというつづきを探す。家族を考えさせられる温かな話。

 さいごに出てくる「ふたりはなかよし」は創作だと思うのですが、その話でとどめをさされた感じです。
 幽霊と魔女が仲良しというその話。ベソちゃんを探す幽霊、ベソちゃんの続きを知りたいという。ふたりはなかよしの魔女のイーちゃんと幽霊のベソちゃんのモデルに涙。ラストの桃さんと手紙を送りたがっていた人物とのやりとりにも泣けました。本の中の登場人物たちが読んでる人のつづきを知りたがるっていう設定がいいなあと思う。王様たちが本に戻らなかったのも、桃さんのつづきが気になるからっていう理由を見て、また泣きたくなったり。桃さんが出せなかった手紙を出したのは、彼女の言うとおり、本の中から出てきたみんななんだろうか。
 本のことを考えた本でもありました。一生手元に置いておきたい本、あんまり考えたことなかったなと思う。そういうの一つ、あるといいなと思う。

内容
 1、図書館へ、はだかで来てはいけません。
 2、夜の遠吠えは禁止です。
 3、座敷童子だなんて思いません。
 4、幽霊と魔女がなかよしですか?


『ブレーメンバス 柏葉幸子短編集』

絵:藤原ヨウコウ

 ほのぼのファンタジーを想像していましたが、そんなことはなかったです。
 これが児童書なのか! と驚きました。

 ホラーだったり、ファンタジーだったりな短編集。ほのぼの話もなくはないですが、全体的にシビアな設定というかブラックなところがあるように感じました。どちらかというと大人向けと感じるのは、大人が主人公の話が多かったからかもしれません。
 ホラーっぽい話が多かった印象ですが、なかでも人形作家の登場する「ピグマリオン」が怖かった。人間の欲深さとか。あと、「三人の幽霊」は話自体はそれほど怖くはなかったのですが、挿絵にひえっとなりました。怖い。
 好みの話は表題作の「ブレーメンバス」。どの短編もおとぎ話がモチーフになっているのですが、この話もタイトルから察せられるとおりブレーメンの音楽隊がモチーフになっています。年代の違う女性、女の子がそれぞれの理由で行き合い、バスに乗って1件の家に……って感じの話。バスに乗って行った先での暮らしが幸せそうで、読んでいてほっとしました。これがこの本のラストを飾るのがいいなあと思う。

収録されている話
 金色ホーキちゃん
 桃から生まれた
 ハメルンのお姉さん
 オオカミ少年
 つづら
 ピグマリオン
 三人の幽霊
 シンデレラ坂
 みなみはエッちゃんがきらいです
 十三支
 ブレーメンバス


『ミラクル・ファミリー』

 装画:山本容子
 第45回 産経児童出版文化賞受賞
 児童書ですが中高生以上の人こそ読むといいんじゃないかなと思う話です。

 お父さんが中心の短編集。いろんな家族、いろんな境遇、いろんな性格のお父さんとその子どもたちの話。昔話をしてみたり、いっしょに仕事をしてみたり、日常生活を送ったり。お父さんによる昔語り。
 ユニークなもの、ほろりとするもの、ちょっと怖いもの…内容も様々で楽しく読みました。どの話も好きですが、ラストに「父さんの宿敵」を持ってくるのがなんだか粋だなあと思いました。やっぱり母は強いのか。にやっとしました。

収録されている話
 たぬき親父
 春に会う
 ミミズク図書館
 木積み村
 ザクロの木の下で
 「信用堂」の信用
 父さんのお助け神さん
 鏡よ、鏡……
 父さんの宿敵

★単行本